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AIとの壁打ちだけでは足りない?仕事で成果を出す「人との壁打ち」の方法

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「これは良い案だ」と思った業務改善案が、見事に否定された

現状の課題を解決するために、新しい業務フローを考えたことがあります。既存の業務フローや関連するドキュメントをAIに読み込ませ、「この問題を解決するにはどうすればいいか」と何度も壁打ちしました。AIと議論しながら案を修正していくうちに、自分ではかなり良い案ができたと思っていました。

そして、その案を関係者にプレゼンしました。しかし、結果は散々でした。こちらが「今の業務フローにはこういう問題があるので、こう変えましょう」と説明しても、「そもそも今のフローを変えなくてもいいのでは」という方向に話が進んでしまったのです。

振り返ってみると、AIとの壁打ちで考えを深めることはできても、関係者がどう考えているのかまでは把握できていませんでした。技術的には筋が通っていても、現場が本当に困っているのか、変更によって誰に負担が生じるのか、そもそも変更する必要性を関係者が感じているのか。こうした論点を事前に確認していなかったのです。

『すごい壁打ち』とは?どんな本なのか

『すごい壁打ち』は、壁打ちを使って自分の考えを整理するだけではなく、他者との対話を通じて思考を深め、仕事を前に進める方法について書かれた本です。

私がこの本を読む前は、「壁打ち」といえばAIに自分のアイデアを投げて、質問や反論を返してもらう方法をイメージしていました。実際、AIとの壁打ちは企画の論点を整理したり、抜け漏れを確認したりするうえで非常に便利です。

しかし、前述したように、AIと何度も壁打ちして作った業務改善案が、実際のプレゼンではまったく刺さりませんでした。

この本を読んで分かったのは、壁打ちには「思考を整理する」だけではなく、「自分とは違う視点を取り入れる」「関係者を巻き込む」「アイデアを一緒に育てる」といった役割もあるということです。

つまり、壁打ちは一人で答えを出すための方法ではありません。自分の頭だけで考えるのではなく、相手の頭も借りながら、考えを深めていくための方法なのです。

その意味で、この本は「AIとの壁打ちのやり方」を学ぶ本というより、人と壁打ちしながら仕事を進めるための考え方を学ぶ本だと感じました。

『すごい壁打ち』を読んで特に刺さった5つの考え方

『すごい壁打ち』を読んで、特に印象に残ったのが「壁打ちは、考えがまとまってから行うものではない」という考え方です。

私はこれまで、ある程度考えを整理してから人に相談するものだと思っていました。しかし、それでは相談するまでに時間がかかります。むしろ、まだ曖昧な段階で話すからこそ、壁打ちには意味があります。

そのほかにも、社内SEやエンジニアとして仕事をするうえで参考になった考え方がいくつもありました。

ここでは、特に実務で使えると感じた5つを紹介します。

1. 曖昧な状態でも人に話していい

「もう少し考えを整理してから相談しよう」と考えているうちに、時間だけが過ぎてしまうことがあります。壁打ちは、まだ結論が出ていない段階でも問題ありません。

2. うまく話す必要はない

壁打ちでは、きれいな説明や完成された資料を用意する必要はありません。頭の中にある考えを話してみることで、自分自身の思考も整理されていきます。

3. 相手の反応によって、自分の考えを客観視できる

自分では当然だと思っていた前提に対して、「なぜそうするのですか?」と聞かれるだけで、考え直すきっかけになります。相手の反応そのものが、自分では見えていなかった問題を発見する材料になります。

4. 他人の頭を借りることで、アイデアを「拡張」できる

壁打ちは、単に自分の考えをチェックしてもらうだけではありません。話しているうちに、自分だけでは思いつかなかった方向へアイデアが発展することがあります。

5. 壁打ちは「根回し」や「関係構築」にもなる

企画をいきなり正式な会議で提案するのではなく、事前に関係者へ「ちょっと相談なのですが」と話しておく。そこで意見をもらい、企画を修正していく。こうしたやり取りを重ねることで、企画そのものだけでなく、企画を進めるための関係も作られていきます。

この5つを読んで特に感じたのは、壁打ちは「良い答えを見つけるためのテクニック」ではないということです。自分一人では見えないものを、他者との対話を使って見つけていく。そのための仕事の進め方なのだと思いました。

なぜ一人で考えるより、誰かと壁打ちしたほうがいいのか

一人で考えていると、どうしても自分が置いている前提を疑いにくくなります。

たとえば業務フローを改善するとき、「この作業は非効率だからなくしたほうがいい」「このシステムに変更すれば効率化できる」と考え始めると、その前提の中でどう改善するかばかりを考えてしまいます。しかし、そもそも現場はその作業を本当に負担だと感じているのか、なぜ今のフローになっているのかまでは、自分一人では見えにくいものです。

そこで役立つのが、人との壁打ちです。

「その作業って、本当に必要ですか?」「現場は困っているんですか?」「その変更で誰の作業が増えますか?」といった反応を受けることで、自分では当然だと思っていた前提を見直すことができます。

また、壁打ちの相手は必ずしも業務に詳しい人である必要はありません。むしろ、業務を知らない人から「なぜそうするんですか?」と聞かれることで、自分では気づかなかった思い込みが見つかることもあります。

一人で考える時間を減らすというより、一人では見えない部分を、誰かの視点を借りて確認する。これが、壁打ちを仕事で活用する大きなメリットだと感じました。

実際に壁打ちしてみて、仕事の進め方がどう変わったか

『すごい壁打ち』を読んでから、実際の仕事でも意識して人に壁打ちするようになりました。

特に変わったのは、企画をある程度完成させてから相談するのではなく、「まだ考えがまとまっていないのですが」と早い段階で相談するようになったことです。

実際にエキスパートに壁打ちしてもらうと、自分では気づかなかった論点が出てきます。「そもそも、その課題は本当に解決する必要があるのか」「その方法だと現場ではこういう問題が起きないか」といった指摘を受けることで、課題そのものに対する解像度が上がりました。

もう一つ大きかったのが、壁打ちした人が自分の「味方」になってくれる感覚です。最初は単なる相談相手だった人とも、何度か話しているうちに、そのテーマについて雑談したり、困ったときに相談したりできるようになりました。

そして、いざプレゼンするときにも以前より自信を持てるようになりました。すでに何人かと議論して、反対意見や疑問点をある程度潰しているからです。

一方で、自分がこれまで「人を巻き込んで仕事を進める」ということを十分にできていなかったことにも気づきました。良い企画を一人で作ることよりも、周囲と一緒に企画を育てていくことのほうが、実際の仕事では重要なのだと感じています。

『すごい壁打ち』はこんな人におすすめ

『すごい壁打ち』は、単にアイデアを考える方法を知りたい人だけでなく、人に相談することが苦手な人に特におすすめしたい本です。

たとえば、次のような人です。

  • 企画や改善案を一人で考え込んでしまう人 「自分である程度答えを出してから相談しよう」と考え、気づいたら企画を一人で作り込んでしまう人に向いています。

  • 「こんなことを相談したら、相手の時間を奪ってしまう」と考えてしまう人 壁打ちは、完成した企画をレビューしてもらう場ではありません。まだ曖昧な段階で「ちょっと相談したい」と話してもよいという考え方を学べます。

  • 社内SE・エンジニアで、技術的には正しいのに企画が通らない人 システムや業務フローの改善では、技術的な正しさだけでなく、現場の事情や関係者の納得も必要です。そうした部分を事前の壁打ちで確認する考え方は、実務でも使いやすいでしょう。

  • 上司や関係部署へのプレゼンで、いつも最後にひっくり返される人 正式な会議で初めて企画を見せるのではなく、事前に関係者と話しながら企画を育てていく方法を知ることができます。

  • ソロプレナーや個人開発者など、一人で仕事を進めている人 一人で考える時間が長くなりがちな人ほど、意識的に他者の視点を取り入れることで、思い込みや見落としに気づきやすくなります。

特に、「自分の考えをちゃんと整理してから人に相談しなければ」と思っている人には、一度読んでみてほしい本です。考えがまとまっていないからこそ、人に話してみるという発想に変わるだけでも、仕事の進め方はかなり変わると思います。

AIとの壁打ちだけでは足りないと思った理由

AIとの壁打ちは、今でも仕事でかなり役立っています。企画の論点を整理したり、抜け漏れを確認したり、別のアイデアを出してもらったりするには非常に便利です。

ただ、『すごい壁打ち』を読んで、人との壁打ちにはAIとは違う役割があると感じました。

AIとの壁打ちでは、自分が入力した情報をもとに議論が進みます。今回の私のように、既存のドキュメントをAIに読み込ませて業務フローの改善案を考える場合、AIは与えられた情報の中ではかなり深く考えてくれます。

しかし、「現場の担当者はその業務をどう感じているのか」「なぜ今のフローが何年も残っているのか」「この変更を上司はどう受け止めるのか」といった、人間関係や組織の事情までは、AIだけでは十分に把握できません。

人との壁打ちでは、こちらの説明に対して「それなら現場は困らないと思う」「その変更は運用が大変では?」といったリアルな反応が返ってきます。さらに、相談した相手が企画の背景を理解してくれれば、その後に協力してもらえる可能性もあります。

だから私は、AIか人かの二択ではなく、AIで考えを整理し、人との壁打ちで現実に合わせて企画を磨くという使い分けが良いのではないかと思っています。

『すごい壁打ち』を読んだ感想・まとめ

『すごい壁打ち』を読んで一番大きかった気づきは、壁打ちは「自分の考えを整理するための方法」だけではないということです。

これまで私は、AIと壁打ちをしながら企画を練れば、一人でもかなり良いところまで考えられると思っていました。実際、AIは論点整理やアイデア出しには非常に役立ちます。

しかし、実際の業務で企画を通すには、それだけでは足りませんでした。現場がどう感じるのか、関係者は何を気にするのか、なぜ今のやり方が続いているのか。こうした情報を知るには、実際に人と話してみる必要があります。

この本を読んでからは、企画を完成させてからプレゼンするのではなく、早い段階で関係者に相談することを意識するようになりました。結果として、企画そのものの精度だけでなく、相談した相手との関係も少しずつ深まっていきました。

『すごい壁打ち』は、AIを使った思考法を学ぶ本だと思って読むと、少し印象が違うかもしれません。むしろ、人の力を借りながら考え、周囲を巻き込みながら仕事を進めるための本です。

一人で考え込んでしまう社内SEやエンジニア、企画を自分一人で抱えてしまいがちな人には、特に参考になる一冊だと思います。